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読解力との相関

高松高校合格専門国語EQZ、塾長です。

福井県では、公教育での研究を継続的に行っている教育総合研究所という機関があります。

様々な取り組みをしていますが、そのうちの一つに、RSTがあります。Reading Skill Test です。そして、その結果を随時発表しています。また、それが地元の福井新聞に取り上げられてこちらも継続的な特集のような形で掲載されています。

※ウエブ上では有料会員にならないと読むことができません。

 

語彙力との相関

私も直接福井新聞の記事は読んでないのですが、RSTの主催者である、新井紀子先生が、ウエブ上に簡単に結論を書いてくださっています。

それによると

語彙数とRST能力値に相関がある

だそうです。RST能力値とは要は読解能力です。

語彙数とは、言葉の数をどれだけ知っているかということです。

ですので、語彙数と読解能力値には相関がある、ということですね。因果関係とは言っておりません。ここ、大事な部分です。

 

因果関係と相関関係

因果関係と相関関係、似ているようですが、違います。

相関(関係)があるというのは、二つのものごとの間に、一方が増えればそれに伴って、もう一方も増える(或いは減る)という関係があることを指します。

成績が上位になる子ほど勉強時間が長い

これは相関関係です。「成績」という一つの指標が増えると、「勉強時間」というもう一つの指標も増えていくという関係になっています。

これを見て、ほら、だからもっと勉強しなきゃ、という結論は間違いです。

因果関係とは、原因と結果がセットになっているものです。一方がこうなったという原因があるから、もう一方がこうなったという結果が現れるという関係ですね。

 

成績の良い子ほど勉強時間が長い

先ほどの、この例文をもう一度みてみましょう。

成績の上位の子ほど勉強時間が長い

これは相関関係です。でも因果関係ではありません。

勉強時間が長い子は成績が良いからもっと勉強しなきゃという結論を導き出すのは早計です。成績と勉強時間は因果関係ではなく単なる相関関係だからです。

もう少し言うと、これは「勉強時間が長いから成績が上位になった」のではなく、「成績が上位の子だから勉強時間が長い」かもしれないのです。

成績が上位の子は勉強の方法が分かっている、勉強していて苦ではない、勉強が好きである等々の理由で、勉強時間が長くなっているのかもしれないのです。

まあ、一般的には勉強時間が長いと成績が上位に来ることが多いので、そこに因果関係を見出して、「もっと長い時間勉強しなきゃ」という考えに至るのだと思いますけどね。

 

語彙と読解力

先ほどの話に戻ります。

語彙数と読解能力には相関がある、つまり、「語彙力の多い子」と「読解能力値が高い子」には双方に関係がある、ということです。因果関係ではありません。

ですので、「語彙数が多い(=原因)」から「読解能力値が高い(=結果)」と捉えるのは本来は間違いです。読解能力値が高いから語彙数が多いのかもしれません。言い換えると、読解能力値が高く、読書などをどんどん進めることができるので、獲得できる語彙数も多くなる、ということです。

ただ、現場での意見を言いますと、語彙数が多い子は国語の点数は高いのです。これも相関関係であって、本当は国語の点数が高いから語彙数が多いのかもしれませんが、ここで順番というのが出てきます。

何が先で、何が後なのか? です。

 

先後は割と明確

成績が良い、とか、読解能力値が高い、まずこの状態を作り出してから語彙数を増やしますか?

そんなの無理じゃない? と思うでしょう? はい、私も無理だと思います…笑

だから、語彙数の多さと読解能力値が高いことには相関関係があるのであれば、どちらかを原因としてどちらかを結果として出せば良いわけですが、結果として出したいのは「読解能力値が高い」です。であれば、「語彙数の多さ」を原因とすることが自然でしょうし、やり方が具体的に思い浮かびますよね? 何とかなるな、と思えますよね? はい、その通りで、何とかなります。

 

と小難しいことを延々と言いましたが、理屈としては上記の通りなのですが、「語彙数の多さと読解能力値には相関関係がある」となれば、語彙数が多いと読解力も上がるだろうなというのは、感覚的には分かると思います。そして、その感覚は正しいと思います。

おい、最終的には「感覚かよ」と叱られるかもしれませんね…笑

 

常々主張していること

現場での意見です。

語彙力が少ない子は救えない、のです。

語彙力が少ない子は、分からない言葉だらけで、何度読んでも丁寧に読んでも、意味不明の文章(みたいなもの)が並んでいるだけで、頭に入ってくるわけがないのです。

では語彙力があれば、どうにかなるのか?

はい、なりますね。どうにか点数に結びつけることは可能です。だって、読んでいて文章の意味は分かっているわけです。それで点数が悪いということは、解き方を知らない、回答を見つける方法を知らない、記述の方法を知らない、丁寧さが足りない、等々、点数が取れない原因は「解く場面」にあるからです。それは矯正すればできるようになるのです。

 

甘い詰め

文章の意味が分かるのに点数が取れないのは、解く場面に原因があり、それは矯正できる、ということでした。

これは言い換えると、点数を取ることに対する詰めが甘いということでもあります。

そして、「詰めが甘くない子はいない」というのが私の実感です。

なぜ二重否定をわざわざ使うか? はい、それを強調したいからです…笑