今回は、2022年3月に実施された香川県の公立高校入試問題に関してです。
教育委員会概評
令和4年度香川県公立高等学校入学者選抜学力検査の概評について
学力検査全体
① 学力検査は、5教科の総合得点(250点満点)の平均点が55%(138点)前後とな
ることを目安に問題を作成した。
② 平均点は57.9%(144.7点)であり、予想をやや上回った。
③ 5教科の総合得点は、180~200点の層にピークがある分布となった。
受検生へのメッセージ
日頃の学習では、全教科を通して、次のような点が大切である。
① 授業を大切にして基礎的・基本的な事項をしっかり理解するとともに、それらを活用し、筋
道を立てて考える力を付ける。
② 問題の意味を正しく読み取り、考えたことを理由や根拠を明確にして、的確に表現する力
を付ける。
③ 社会の動きや身の回りで起こっている事柄にも興味・関心を持ち、学習したことと関連付け
て考えてみるようにする。
受検者数 令和4年度 5,370人(令和3年度 5,580人)
国語平均 29.0点
国語の概評
令和4年度香川県公立高等学校入学者選抜の学力検査の各教科概評
国 語
① 小説を読んで答える問題は、期待したとおりの正答率であった。登場人物の心情が変化した
きっかけを本文に即して説明する問題は、正答率が低かった。
② 評論を読んで答える問題で、文章を正確に読み取り、指示された内容を的確にまとめる問題
は、正答率が低かった。
③ 古文を読んで答える問題は、期待した正答率をやや下回った。登場人物の心情を説明するた
めの適切な語句を本文中から探す問題は、正答率が低かった。
④ 作文は、「成長するために大切なこと」というテーマで出題したが、条件を満たしていない
ものや、自らの意見を適切な体験や具体例を示しつつ説明できていないものが多かった。
読んでみてください
親御さんもぜひ読んでほしいと思います。評論文の中の一部です。
青文字は私がつけました。人によっては意味が分からない、難しいかなと思う語です。
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社会的感受性のまず第一は、現場の事実、生活者の「意味世界」を重視し、そのリアリティから物事を見ようとする姿勢だ。
「意味世界」とは、人が、自分を取りまく世界について、こうなっている、あるいはこうあるべきだ、と解釈しているその体系だ。決められた枠組みで物事を見るのではなく、現場の人びとの意味世界から何かを見よう、考えようという姿勢が、社会学的感受性の第一だ。
数字で表せない、言葉や感覚で表されるものへの感性、「自然との共生」「持続可能性」といった大きな物語に収斂されないものへの感性とも言ってよいだろう。
それぞれの地域、それぞれの人生には、決して代替できない固有の価値があり、意味がある。そこに思いをいたすことが、まずもって大切なことだ。
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中学3年生で、このレベルの文章は読めなければいけないのです。
古文でも
古文の一部を掲載します。
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中納言殿感じ給ひて「それはすべての物事に渉りてことわりある謡なり。・・・以下略
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古文の問題では、「ことわり」の意味が分からないと解けないものがありました。
果たして、中学3年生で「ことわり」=「理」が分かるでしょうか?
文章難易度
2021年の入試問題もそうですが、それなりの難易度の文章が出ます。
大人向けの新書レベルの文章は読めなくてはならない、はずです。そのぐらいの難易度は当たり前に求められます。
だから中学3年生に対しては、このような書籍を副教材として読んでもらっているわけです。
語彙増強
前述の本文中、青文字で提示した言葉以外にも
いとなみ
合意形成
プロセス
再構築
根本的
みずからの
位置づけ
といった言葉が出てきます。
お子さんたちは、意味がちゃんと分かるでしょうか?
試しにその意味を尋ねてみてください。
小学生はまだ無理ですけどね。
こういった言葉が分からないと、当然、文意は分かりません。
文意が分からなければ設問に答えることも無理だということは分かりますよね。
勉強法案
こういった言葉が出てくるという前提に立てば、日々、毎週毎週、意味が分からない言葉を調べて、覚えて、使えるようにしていかなくてはならない、ということは容易に分かります。
であれば、すべきことは明確ではないでしょうか?
以下、当塾で行っている事例です。ぜひ家庭でも取り組んでほしいと思います。
→赤色のマーカーを引いている語が、「生徒が分からない」と自己申告した語、或いは、私の方で勝手に色を付けた語、です。つまり、高校受験生として意味が分からないと困ると判断した語という意味です。
その場で意味を僕が尋ねてみて、意味を言えたものにはマーカーを引いていません。
以下、やってみてください。
→赤色のマーカーを引いた語をノートに書きだしましょう。
→辞書で意味を調べましょう。例文があれば例文も書きます。
→最後に、音読をしましょう。口・耳も活用して言葉を覚えるのです。
これをずっとやり続けるのです。毎日毎日とまでは言わないけど、週に2~3問ぐらいは進めていってほしいです。
当然、受験生以外も、です。
また古文も同様です。
→黄色のマーカーは私の方で「覚える語」として色を付けました。現国と同じようにノートに書き出して覚えていきましょう。
→現国ほど言葉の数は多くないので、恐らく割と楽に仕上がります。
→古文は、設問(問い)は、実は簡単です。本文が読めればたいていできます。だからこそ、本文の意味が分かることが最重要事項です。
国語ができないというのは、イコール、文意が分かっていない、です。
その原因の一つに語彙力不足があります。
言葉の数は一気には増えません。だから、日々地道に増やしていく努力をするしかありません。
国語ができるようになるため、それ以外に方法はありません。
国語ができない要因、国語ができるようになるための具体策を、保護者説明会「国語の危機を救う具体策」にて提示しております。お子さんの国語力強化のためのヒントはあるはずです。
どうぞお越しください。
7月18日(月・祝日)13:30~15:30