現在の大学1年生の代から始まった共通テストですが、現高校1年生までは、同じ要項で実施する旨が発表されていました。現中学3年生以下は、未決だったわけですが、現状どうなっているのかをお知らせします。
記述問題
共通テストの大きな目玉だった記述問題の件です。いくつかの科目では記述問題を導入する予定だったのですが、見送りになっていました。そして、現在の中学3年生以下の世代でも、記述問題は見送りになります。
文部科学省は2021年4月2日、大学入試のあり方に関する検討会議を開催し、2025年1月以降の大学入学共通テストで記述式問題の導入を見送る方針で一致した。文部科学省は今夏までに正式に決定する。
朝日新聞記事より
まだ最終決定ではありませんが、導入することは現実的に不可能という判断で、見送りになります。もう覆ることはないでしょう。
英語資格
共通テストから英語のテストを無くし、四技能(読む、聞く、書く、話す)を取り入れた英語の検定試験の結果を代替とする、という方向で動いていましたが、見送りになっていました。
そして、これも、現中学3年生以下の世代においても見送り決定です。
文科省の大学入試の在り方に関する検討会議は20日、令和6年度実施以降の大学入学共通テストでも英語の民間資格・検定試験の活用を見送ることで一致した。民間が実施する以上、実施回数や受験料が大きく異なり、公平性の確保が困難だと判断した。検討会議では既に、記述式問題の導入も見送る方針を固めている。
朝日新聞記事より
情報・公共
新しいことで言いますと、入試科目に「情報」「公共」が入るということぐらいですかね。
「情報」では、比例代表選挙の議席配分の考え方をプログラムで処理する方法などを出題。配列、最大値探索、繰り返し処理を用いたアルゴリズムの理解度を見る。
「公共」ではSDGs(持続可能な開発目標)から課題を選び、資料を読み取る問題などを出題している。
日本教育新聞社
参考までに、情報と公共の問題サンプルへのリンクを貼っておきます。いずれも大学入試センター内のサイトに掲載されている問題サンプルで、PDFデータになります。
その他、「令和7年度以降の試験」
結果的に
国公立大学入試のルートは、
【全国一斉のセンター試験 ⇒ 各大学における二次試験】
から、
【全国一斉の共通テスト ⇒ 各大学における二次試験】
になりました。
では、センター試験と共通テストは何が変わったのかというと、形式的にはほぼ何も変わっていない、ということです。
私立大学の入試ルートにおいては、センター試験も共通テストも、そもそもそんなに関係が深いわけではありません。
ですので振り返ってみると、「大山鳴動して鼠一匹」ということですね。形式的には、です。
思考力・判断力・表現力
共通テストでは、当初より「思考力・判断力・表現力」を問う問題を扱う、となっていました。この中で、表現力に関しては、記述問題にて判断するということです。その記述問題がなくなるわけですので。表現力は問われません。
ただ、思考力判断力は依然として残っています。保護者説明会でもお話している通り、思考力判断力を分析すると、結局「読んで考える力」になります。
「読めなければ何もできない」「大多数の子は読めているのは文字であって文意ではない」「入試直前になって読めない子ができることは何もない」……これらは一貫してお伝えしていることです。
出ないから要らない
記述問題は出ない、英語の資格も問われない。だったら、それらの対策は必要ない、でしょうか?
違います。記述問題が出ない、英語の資格を問われない、というのは、あくまでも国公立大の一次試験である共通テストだけの話です。
国公立大の二次試験である各大学別の入試では当然のように記述問題は出ます。
国公立大でも私立大でも、英語の資格があれば有利になることは多いです。有利になるどころか、出願の条件になっていることすらあります。つまり、ある程度の英語の資格がないと出願すらできない、ということです。
ですので、共通テストには出ないけど、「読める」、「書ける」、「英語の資格がある」……というのは今後の大学受験生にとっては必須事項だと言って良いかと思います。