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選書考察

子どもたちは、物語文が大好きです。

当塾でも、休憩時間、お迎えを待つ時間に、子どもたちが物語文を手にしている姿をよく見かけます。

 

私には「子どもたちは、放っておいても物語文は読む」という感覚があります。

ご家庭ではいかがでしょう?

 

まず、この物語文に関して、そして、後半では説明文論説文に関してお伝えします。

 

まず、最初にお伝えしておきたいのは、「好きな物語文、興味がある物語文」を読むことは一向に否定しません。

読みたい本を取り上げる必要は全くない、ということですね。

 

ただ・・・

 

 

 

ただ、少しだけ意識してほしいのは

 

「自分とは違う立場の人が主人公になっている物語文を読むこと」

です。

 

子どもたちが、読みたい物語文というのは、「自分と同じ立場の人が主人公」である場合が多いかと思います。

 

つまり

 

「令和の時代を生きている」

「同年代の」

「同性」

 

ということです。

感情移入がしやすいわけですね。

だから面白い

だから読みたい

冒頭で申し上げた通り、それは一向に否定するものではありません。

 

が、入試のことを考えたり、また、視野を広げるという意味でも、「違う立場の人が主人公」の物語文をお勧めします。

 

小学生男子であれば

「平成時代」の物語文であったり、「中学生~高校生」が主人公であったり、「女子」が主人公であったりです。

 

要は、

 

「令和」「同年代」「同性」の最低1つ以上を「ずらしたもの」

 

です。

 

そして、

 

「異性の作家」

 

の物語文もお勧めです。

 

 

全国の中学入試問題、高校入試問題の最近の2年分ぐらいを調べてみました。

 

多くの場合「何かがずれている」のです。

 

上記でお伝えした通り、時代や年代や性別がずれいている物語文が出題されています。

 

ずれているとは、受験生の立場と同じではない、という意味です。

 

ですので、そういったことも意識して選書をしていただければと思います。

 

 

★ 特に、男子私立中学女子私立中学を受験する人は、「性別」を意識してほしいと思います。

男子中学では女子が主人公の物語、女子中学では男子が主人公の物語が、結構出されています。

 

 

★ 共学の学校、公立高校の場合、性別の偏りはあまりありません

ですので、まず「時代」or「学年」をずらしたものをベースにして、できれば「自分とは性別の違う人が主人公」の物語を意識して読んでほしいと思います。

普段、あまり読んでいないと思いますので。

 

 

ちなみに、ズレているといっても

 

受験生より年少の人が主人公になる物語文は、入試ではあまり出ない。

 ※年少とは…小学6年生にとって小学5年生以下が主人公。中学生にとって小学生が主人公。という意味

 

大人が主人公になる物語文も、入試ではあまり出ない

 

という傾向もあります。

 

 

なぜ、「ずらした」物語文を出題するのか?

 

恐らく「想像力を試すため」だろうと思います。

 

今の子どもたちにとって、携帯電話がない時代は想像しにくい

小学生にとっての中学生高校生の生活、中学生にとって高校生の生活、それぞれ想像しにくい

男子にとって女子の考えや気持ち、女子にとって男子の考えや気持ち、それぞれ想像しにくい

「現代の」「同年代の」「同性」が主人公であれば、まだ想像しやすいでしょうが、「何かがずれる」と想像しにくい

 

そこを突いてくるわけですね。

 

 

普段から、物語文を読みなれているお子さんは、昭和以前の物語にチャレンジしてほしいと思います。

明治・大正・昭和時代のものです。時代を大きくずらす、ということです。

 

「現代文国語」の「現代」とは、概ね、明治以降を指します。

ですので、特に大学入試では、現代文国語と言いながら明治時代の「半古文」みたいな文章も出ます。ルール上はOKということなんでしょうね。

実際、大学入試共通テストでは、1918年(明治時代後期)に発表された物語や、1946年(終戦直後)に発表された物語、が出題されています。

 

学んでほしいのは、文体だけの話ではありません。

むしろ「時代背景」「昔の価値観」です。

 

 

 

入試には、説明文、論説文も出題されることがほとんどです。

ただ、物語文と違って、子どもたちが自ら説明文・論説文を読むことはほとんどなさそうに感じています。

ご家庭ではどうでしょう?

 

そういったこともあって、塾で読む書籍は、説明文系を中心にしているわけです。

 

もし、ご家庭で書籍を準備しようと思う場合、選書基準は次のようにお考え下さい。

 

◆ 中学入試では、「中高生向けに出版されている書籍」が当たり前のように出る。

例えば次のようなラインアップ。

 

◆ 岩波ジュニア新書

 

◆ 岩波ジュニアスタートブック

 

◆ ちくまプリマー新書

 

◆ ちくまQブックス

 

あたりが代表的です。

中学生高校生が読む書籍レベルの読解力を、小学6年生でも求められるということですね。

小5小6で、比較的国語力が高いお子さんはチャレンジしてみてください。

 

 

そして、中学生になれば、

◆ 高校入試では「一般的な新書レベル」は割と当たり前に出てくる。尚且つ、哲学、倫理学のような抽象的な話も多くなる。

 

最終的には「一般的な新書レベル」まで到達してほしいのですが、取っ掛かりは、上記で紹介した「岩波ジュニア」等の中学生高校生向けの書籍で良いかと思います。

 

ただ、いずれも一言で「~~レベル」と言っても、著者、内容によってかなりの差があります。

 

ですので、書店・図書館などで実際の文章を確かめてみる必要があると思います。

 

 

 

 

ざっくり読む子が多いです。

 

言い換えると

 

読み方がいい加減です。

 

 

極端かもしれませんが、文を指でなぞりながら、1文節ずつ、1文ずつ、着実に意味を理解することを優先してほしいと思います。

 

そして、意味が分からない言葉を調べるのはいつも授業でもやっている通りです。

 

また、物語の中で出会った自分の知らない世界時代背景も、ネットで調べたりして、視野を広げていってください。これは、ざっくりでOKです。

 

 

「読書をしても読解力向上につながらない」とも言われますが、その原因はこの点だと思います。

 

ざっくりとしか読まず、意味が分からない言葉を放置し、視野を広げることもない。

 

つまり、単に視線を流しただけ、有効活用できていない、ということですね。

 

 

尚、塾にある書籍を持ち帰るのはOKです。希望者は塾長までどうぞ。